ペップトークの講演を聞いて

先日とある会合に出席し、その中に設けられた講演会で岩崎由純氏からお話しを聴いてきました。岩崎氏は80年代前半からオリンピックの場で活躍する選手を主体に、数々のスポーツ連盟や一流企業でコーチングを行ってこられた方です。

コーチングとはまだ聞き慣れない方も多いかもしれませんが要するに、当事者の持つ本来の潜在能力を120%引き出す為の考え方、或いは行動をクライアントの立場や状況に合わせて的確に指導していくお仕事です。
大企業の社員育成の研修からスポーツ、教育現場まで昨今コーチングの需要は多岐に渡っています。ペップトークとはペップ=元気、活力、活気、つまり激励の言葉を意味します。

岩崎氏の掲げる新たな視点としては、従来の日本語が引き起こしてきたマイナスの言霊を、プラスのよりポジティブな日本語へ変えていこうとするところではないでしょうか。
コーチングの世界は横文字の心理学用語が飛び交う世界ですが、漢字の読み替え(例えば自分に克ち相手に勝つ)などを工夫し、従来からの日本語情報処理を敢えて用いながらマインドを変えていこうとする試みは、日本人にとってはまさに正攻法と言えるでしょう。

実は私は以前から苫米地英人博士の書籍をちょこちょこ読んでまして、コーチングの基礎的なことは少しかじってはいました。
しかし私の予想を大きく超えて、今回の講演は更なる発見と刺激を与えてくれたのです。

岩崎氏の講演の凄さは、まず何といっても聴衆を引き込む場の作り方、それに柔らかな物腰、そしてほとばしる情熱。それらの圧倒的なインパクトと、新たな視点からブレイクスルーの切っ掛けを作る言葉が、ドミノ倒しの如く聴衆の共感を連鎖させて行きます。
ふと周りを見渡すと、男女関わらず涙を拭っている方々も見受けられる程でした。
内容も大変理路整然としており、口調や身振りも舞台俳優のように明確でした。
その為、90分という時間は全く弛みなく過ぎていったのでした。

ここで私が書きたいことは、岩崎氏の講演から学んだ事を、理屈っぽく止揚して再提示することではなくて、単純に、ごく単純に『人に話を聞いてもらうには、発言の言葉を越えた気合いがそれ以上に大事なのだ』ということでした。
今まで私は人前で話す時に、それを文字化した状態でのオリジナリティや共感性ばかりを気にしていましたが、今回の講演を聴いてやはりそれだけでは足りないのだと痛感したのです。
また言語を駆使することは勿論、五体をフルに使った身体性が、一言一言放たれる言霊によりパワーを与えている気がしました。

聴衆を泣かしてしまうほどの講演というのは、つまり聴衆を変性意識状態にもって行ける、良い意味での一つの技と言えるでしょう。
私自身も人前で話す者の端くれとして今回の岩崎氏の講演に大変学ぶところがありました。

最後に、私は決して斜め上から講演を聴いていたのではなく、講演の内容を少しでも教育の場に活かそうという想いで拝聴させていただきました。
岩崎氏の書籍が何冊か出版されているようですので、近い内に購入するつもりです。

うさぎ


taichi
「信念が事実を創り出す」をモットーに、現代に生きた仏教を模索していきます。

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