大瀧山について

護国寺から徒歩30分で登頂できる大瀧山は標高247m。山というより丘くらいの里山です。とは言え、頂上からの眺めには近くは横倉山や黒森、さらに遙か北西には石鎚山を望めるほど、晴れた日の景色は素晴らしいです。
眼下には国道33号線が東西に走り、それと並行して日下川が流れています。東の麓には日高村総合運動公園と四国一の湿地帯がり、対面する青宝山の麓には加茂小中学校があります。
この小学校の校歌の最初「紫匂う♪大瀧の~♪」の紫とは、この山の頂上からすこし下の岩場に自生するツツジの花を歌ったものです。そしてこの岩場が大変に大きい巨石で、かつて50年以上昔にはその岩肌が麓の加茂村からも美しく見えたそうです。大岩のことを昔は大嶽(オオタケ)とも言い、その嶽がいつしか瀧にかわり大瀧山と呼ばれるようになりました。という訳で水が落ちる大瀧があったわけではないようです。

低山で国道からも近いため、ウォーキングがてらの登山ができて中高年に密かに人気です。
また、頂上付近は数十m級の巨石が複雑に点在しており、風穴や洞穴があちこちあります。そのため、ちょっとした探検気分の散策を楽しめます。
この特異な地形に感銘を受けた古人が、自然とこの山を霊山として崇めるようになり、また険しい巨石は修験者の行場として賑わい、当時の信仰の深さを思わせる小さな石仏が数多く祀られております。また集団で野外に於いて修する採燈大護摩供の護摩壇の後も残っています。

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しかし、近年日本各地の里山に於ける間伐放棄によっての森林の荒廃が、この大瀧山でも将来に向けて暗い影を落としています。
その大きな原因は、本来芋畑であった高地の田畑にむりやり植林をして、その後時代の流れとともに木材の需要が激減したことによって植林の管理が不可能になった為です。
間伐が滞ると、無駄に枝が茂り光が地面に届かなくなります。そうすると地表の裸地化が進み土壌の流出も進みます。さらにその影響で根が弱り木が倒れることで山の保水力が失われ、最悪大雨の時の土石流などを誘発し、災害というツケとなり必ず人間に戻ってきます。
また代々この土地に適した、ドングリを生むブナ科の木々や落葉樹が減ったため、リス、ウサギ、小鳥などの小動物が減り、また餌が減った猪がそれを麓の里に求め、お百姓さんの田畑を荒しにやってきています。

そこで、そもそも修験道寺院である護国寺の宗教活動と、村興しから子供たちの自然体験などの活動も視野に入れての里山再生を、大瀧山でのフィールドワークとして行っていくことが護国寺住職である私の考えです。
生きる事は生かされている事、また活かすこと。
身近にある自然の豊かさを最大限に活かし、そのことで生かされている感謝の想いを興し、一人間として一隅を照らす・・・。そこにこれからの修験道ひいては仏教の未来があり、またひとつの循環型社会に向けての未来があるとも確信しています。

 

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2015年11月、大瀧山山頂でのヨガの風景