薬師如来の御札をお渡しします

日高村原産の楮が仁淀川の清流で手漉きされて出来上がった和紙。
さらに、そこへ檀家様が精魂込めて彫り込んだ篆刻の石のハンコを一枚一枚手押しして仕上げられた手作りの御札。

護国寺に縁のある有志の方々によって手間暇かけて作られている御札に、この度新しく薬師如来の御札が加わりました。

薬師如来は薬師瑠璃光如来または薬師瑠璃光仏とも呼ばれ、その『薬』という字からおわかりのように、病気や厄災を除いてくれる仏様として日本では飛鳥時代の昔から篤い信仰を集めています。

有名なところでは天台宗の総本山である比叡山の延暦寺、その中核である根本中堂の御本尊として祀られています。

また、奈良の薬師寺はもとより、全国各地の宗派を越えた様々な寺院の御本尊として祀られ、護国寺の近くでは土佐市に御座す四国霊場第35番札所の清瀧寺さんの御本尊としても祀られています。

また全国的に見て、比較的高台に建立された寺院の本尊として祀られることが多く、その場合、麓の人々からは峯薬師として病気平癒の信仰を集めました。

あくまで護国寺の本尊は不動明王なのですが、住職として10年以上お勤めさせていただく中で切実に感じる事は、やはり病気平癒を一心に祈られる方が多いということでした。

ご自身の病はもちろん、御家族、御友人の病が少しでも治まりますようにとの切実な想いで祈られる方が本当に多くいらっしゃいます。

そこで、前々から薬師如来の御札を制作したく思考錯誤を重ね、この度いろんなご縁が成就してようやく完成に至りました。

御影の薬師如来は、そもそもがこの為に仏画師さんに描いていただき、それを普段からお世話になっているセルクルデザイン工作室の岩本やよいさんにコンピューターに取り込みやすいよう修正していただいて縮小したものになっております。

また、御札の下方にある何と読むかわからない字ですが、これは常用漢字に直すと『燮』(ショウ)と音読みします。
和らぐ、和らげるという調和を意味する漢字を中国の唐の時代の五経文字で私が書いたものです。

もちろん持ち前の知識ではなく、専門辞書をめくりめくりして出会った字で、これしかないっ!っと選んだものを何回も書き直し、同じくこれしかないっ!っという風に二重のインスピレーションで書き定めた次第です。

かなり念を込めて書いていますので、手に取られた方に想いが伝わると幸いです。

そして、最後になりましたが、一番上の篆刻の文字。
これは檀家様のお一人、中山健さんが晩年ご自身の癌と闘いながら精魂を込めて彫り込まれたものです。

薬師瑠璃光如来本願功徳経の終盤に登場する薬叉(ヤクシャ)が同時に声を上げてお釈迦様に宣言した言葉の一部を抜き取っています。

(薬叉とは薬師如来に仕える十二神将と呼ばれる守神達それぞれにつく7000の眷属(従者)のことです。ちなみに7000×12で84000、つまり仏教の世界でよく言われるところの八万四千の法門になります。)

『皆使解脱 一切苦難 諸有願求 悉令滿足』
(一切の苦難を消滅させ、あらゆる願いをことごとく満足させる。)

というわけでこの度より、この薬師如来の御札を、
毎月28日に護国寺で修されている午前9時からと午後3時からの護摩にお参り頂いた方のみに無料で差し上げることにしました。

是非、この機会に護国寺の護摩にお越しになり、想いが詰まったこの御札をお納め下さい。

南無


taichi
「信念が事実を創り出す」をモットーに、現代に生きた仏教を模索していきます。

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