土佐の観光創生塾に学ぶ

高知城ホールで行われた平成29年度『土佐の観光創生塾』に参加してきました。

地域おこし協力隊や民間の旅行業の方々に混じり、護国寺住職という肩書は参加者名簿の中でひときわ浮いた存在でした。(笑)
そのせいもあってかKUTVさんからインタビューを受けてしまいました。(笑)↑

じゃらんリサーチセンター長であられる沢登さんのプレゼンを拝聴したところによると、観光業界の最新動向としてインバウンド(外国人による訪日旅行)、もうこれなくしてはこの先の日本は語れないというくらいに、各観光地のインバウンド対策が喫緊の課題のようです。

国内の人口減少と少子高齢化の悪化が続く中で、日本人同士の観光誘致はパイの奪い合いが既に想定されており、ご当地競争が飽和状態になる中で、成功する自治体とそうでない自治体が次第に色分けされていくのは当然の流れでしょう。

そこで、内閣府は
「観光は地方創生のゲートウェイである。」
という指針までを掲げているらしく、観光事業関連のファンドも続々と参入してきているそうです。

資料のデータによると、2016年の訪日外国人旅行者数は2404万人。
期待としては東京オリンピックが開催される2020年に4000万人という数字を望んでいるらしく、さらになんと2030年には6000万人!(市場規模としては15兆円!)という高い目標を国内の市場は要請しているようです。

私は一丁前に合図地を打ちながらも、普段、昼食用に買った670円のチョイス生姜焼きのことを考えながら大滝山で一人草刈り機を振り回している自分をふと思い起こし、いつの日か670円のチョイス生姜焼きに懐かしさと哀愁を感じてしまうような未来が果たして大滝山にもやってくるのだろうかと、3秒くらい考えてみました。(笑)

「やっぱり自分は門外漢かな・・・。」
と開始そうそう萎縮しそうになりましたが、その気持ちはすぐに消え去り、高知が大好きと言われていた沢登さんの熱いプレゼンに引き込まれていきました。

「大きな課題は解決していくことで大きな伸びしろになる。」
「観光客の投資に対するリターンは、その地域そこだけで味わえる何か。」
という発言に、私の合図地は益々大きくなっていくのでした。

また、国内の邦人旅行者の同行形態としては意外にも一人旅が全体の17.5%と最も多く、リピーターの中の内訳としても一人旅は一位に挙がっているそうです。

そして「そんな旅行者は情報に飢えている。」と沢登さんは指摘されます。

さらに、新たな旅行者のニーズとして、4位と9位に挙げられていた
『旅先での旅行行動(飲食や体験プログラム等)は現地で決める』
『旅行先でやりたいことがあれば、多少予算がオーバーしてもやる』
その二つをピックアップされたうえで、
「皆さんは、これらにレスポンスできる情報を地域で共有していますか?」
と参加者一同に問われました。

その問いかけを受けて私が思ったことは、
「旅行者はある種の偶発性を求めているのではないか?」
ということです。

つまり、この情報過多の、先進国が均一化していく世界で、観光客はネットを駆使して多角的に観光地の情報を得ようとしてきます。
その先に求めていることはもちろん自らの五感で体感する一次情報なのですが、実はその一歩手前で、『現地の人間によって組み合わされた情報』のようなものを求めているのではないかということです。

ネットで検索できる情報は多角的であるからこそ相対的でもあるのですが、現代の観光客が求めているものは実は『ある種の絶対的であり一元的に組み合わされた情報』つまりそれは観光地に暮らす人間(個人)による観光地の楽しみ方ではないかと思うのです。

例えば、ある観光地には珍しい風景があり、そこでしか食べれないグルメがあり、その土地ならではのアクティビティがあるとします。
今まで観光地側が発信してきた情報は、客観的でデータ的な言わばガイドブック的な情報だったのではないかと思うのです。しかし、これからの観光客が求めているのはその逆の主観的でその情報の発信者によって揺らぎを起しているような情報、ガイドブックとは反対の夏休みの絵日記的な情報、さらにはそれらが主観的に組み合わされたてバリエーションがついたものなんかを求めているのではないかと思います。

観光地で出会う幾つもの主観的な観光地の楽しみ方を観光客の気ままな意志で選択し、それによって引き起こされる思わぬ偶発性。それらが実は『これからの時代の旅の醍醐味』になってくるのではないだろうか・・・?
と、そんな事を考えながら沢登さんのプレゼンを拝聴していました。

というわけで、大滝山での活動に於いて私が取り組むべきことは、『大滝山の楽しみ方』のバリエーションを創ることだと現時点では考えています。

もっとメタに考えると、大滝山を掘り下げたり拡張したり切り取ってみたり、大滝山という情報を人それぞれが受けた時の内部表現の書き換え的なもの、簡単に言うとブランディングみたいなことをしている私という一個人も、実は小さな観光商材として加工し得るのだと思うのです。

沢登さんの後には、去年の活動の成果を報告する3つの事例がそれぞれプレゼンされ、どれも非常に興味深いものでした。
そしてプレゼンをされた皆さんが共通して仰っていたことは、とにかく本気で挑戦し、実行すること。
一地方寺院の挑戦を続ける私にとって、とても勇気を貰えた観光創生塾第一回目でした。


taichi
「信念が事実を創り出す」をモットーに、現代に生きた仏教を模索していきます。

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